中小企業診断士として公的機関で働く
中小企業診断士に限りませんが、独立したら自力で収入を得なくてはいけません。
もとからクライアントのいる人であれば問題ありませんが、そういう人はごく一部。
もしくは、普通はそういった収入獲得の準備をしてから独立するのかもしれません。
ただ、私はそうではありませんでした。
コネも、経験もない私は、なんとかして収入を得る方法を考えて、行きついたところが「公的機関で働くこと」。
私にとっては、公的機関で働くことには大きな意味がありました。
そこで今回は、公的機関で働くことになった経緯や公的機関にこだわった理由などを紹介します。
ぜひご覧ください。
公的機関を利用して稼ぐ
中小企業診断士の多くは、収入源として公的機関を利用しているようです。
独立している、といっても、国の拠点支援であるよろず支援拠点の専門家として働いていたり、都道府県ごとの経営相談員として活動していたり。
あとは商工会議所で相談員をしている、といった人たちもいます。
たしかに調べてみると、地域の〇〇センターや××機関といった施設が多くあり、それらに週2~3日ずつ勤務している、という話もよく聞きます。
かくいう、私も公的機関に勤めています。
ただし、いわゆる経営相談員という専門性の高い職種ではありません。
その地域でおこなわれるさまざまな施策を金融機関や商工会・商工会議所といった支援機関に広報したり、中小企業の支援サポートをおこなったりする、いわゆるコーディネーターのような仕事をしています。
某機関で週4日という勤務体制なので、傍から見ると、いかにも会社員(≒公務員)といった感じ。
特に社外の人と会うときは、そういう立場で話をします。
なので、いかにも独立した、という感じで働いている友人からは、
「いつまでその仕事、続けるん?」
と聞かれます。
そうですよね。
独立しているといいながら、どうみても完全に普通のOLです(・・・死語やな)。
なので、独立の大きな魅力のひとつである、「自由に、好きな仕事をして働く」というイメージからは遠いのかもしれません。
ただ私の場合は、公的機関に勤務しているとはいえ、業務委託という契約。
なので、個人で仕事を受けることはできます。
加えて、与えられた仕事をしっかりこなしていれば、それなりに自由に休みをとることもできます。有給休暇などがあるわけではありませんが、遅出出勤しても早退しても誰からもなにもいわれません。
私のように、独立したといってもクライアントもほぼおらず、コネもないような人間にとってはこういう公的機関で仕事をしながら、収入が得られるのはとても大きいと思います。
公的機関の仕事はどうやって獲得するか
これはもう、応募していくしかないでしょう。
私もいまの職場に決まる前に、別の職種で応募しました。
そのときの職種は経営相談員。
運よく書類審査は通過しましたが、面接でアウトでした。
おそらく専門性の低さが露呈したのでしょう。
仕方がありません。
そんなわけで、
「次はどれに応募しようかな」
と考えていたら、先の面接担当の方から、別の部署で人材を募集しているので面接を受けてみないかという連絡をもらいました。
こういう形での採用が珍しいのか、公的機関では意外と多いのか、私にはわかりません。
ただ、最初の面接のときに、
「いろいろな企業とのかかわりを持ちたい」
「そういう経験がいまは欲しい」
という、あとで思い返せば、転職面接としてはあまりふさわしくない内容を語っていたことを面接官が覚えていてくれたようで。
そこで、
「だったら、こういう仕事もあるよ」
と、紹介してもらった次第です。
本来であれば、社員という形での契約もできたようですが、こちらの事情も考慮して、
「週4日、業務委託」
という、私にとってはありがたい形で契約してもらうことができました。
いまは、担当している業務のKPIをなかなか厳しく求められながらも、楽しく働いています。
ちなみに公的機関は基本的に「4月~翌年3月」までの勤務です。
そのため応募は10月から2月頃に集中するとのこと。
都道府県にある公的機関や地域にあるセンターなど、いろいろチェックしてみるとたしかにいろいろな募集が出ています。
幸いにも、私は2回の面接で決まったのですが、そうでなければいろいろと応募しては落とされて・・・を繰り返していたかもしれません。
中小企業診断士として公的機関の仕事にこだわった理由
私は公的機関の仕事にこだわって応募していました。
正直いって、民間で働くつもりはなかったのです。
大きな理由としては、残業や休日出勤が課せられるような仕事はできなかったから。
夫の自営業を手伝っていることもあり、週5のフルタイムは難しく、公的機関の仕事であれば、
「おそらく9時~17時といった感じの勤務だろう」
「祝日は休めるだろう」
「週2~3日くらいの業務もあるらしい」
という、ネットで仕入れた情報のイメージがあったのです。
実際には週4勤務ですが、土日祝日は休めますし、残業もないホワイト企業です。
まわりの人たちも定時になったらパッと帰るので、私も帰宅しやすく、想像していた以上にありがたい職場といえます。
また、いま担当している業務ではさまざまな中小企業ともかかわりがもてます。
気がつけば20者+αとの企業とのやりとりがあり、大変勉強になっています。
さまざまな士業の方や金融機関の方とも知り合うことができ、まわりのいろんな人たちのサポートを得ながら、こういった世界に足を踏み入れることができたというのは、本当にありがたいこと。
デメリットとしては、個人で仕事を受けるより報酬が安い、ということかもしれません。
それはもう、仕方がないですね。
ただ、それでも私にとっては大きな収入。
なんだかんだいって、固定収入は偉大です。
いろいろと経験やネットワークを獲得しつつ、上司やメンバーからのサポートにも頼りつつ、加えて報酬がもらえる仕事は、塾講師という経歴しかなかった私にはありがたい業務です。
いつか得られるであろうクライアントのために、いまは経験を獲得することに全力を尽くしたいですね。
中小企業診断士として公的機関で働くメリットは大きい
中小企業診断士として公的機関で働くことについて書かせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
公的機関というと、報酬が安い、ということがよくいわれますが、私にとってはそれ以外のメリットが大きいので、報酬をもらいながら自分を鍛えられる最適な場所、という印象です。
ここでの経験を足がかりにして、将来にそなえる。
そういうキャリアプランもあるということを知ってもらえればうれしいです。