中小企業診断士になるまで その10
実は口述試験の記憶はほとんど残っていません。
ただ、会場に行くときに乗った電車で、高齢の女性に席を譲ったことは覚えています。
普段も席を譲ることに抵抗はありませんが、こういう日だからこそ、ちょっとだけ誰かにやさしくできる、という余裕が大切なのではないか、と思ったからです。
こんなことが起こりました。
口述試験終了後、帰り道にある百貨店でご褒美デザートを購入してして、店員さんと清算していると、私の前で先にデザートを購入していた女性から、
「今日、ポイントカード忘れちゃったから、私の分のポイントをこの人に着けておいてあげて」
と言われたのです。
もちろん、それがどうした、と言われたらたいしたことではないかもしれません。
でも自分にとってとても大事な日であり、ちょっとだけ誰かに優しくした日に、別の誰かから優しくしてもらえたことは、偶然ではないと考えます。
そんなこともあった口述試験の1日。
ぜひご覧ください。
口述試験の当日の会場でのこと
口述試験当日。
その日は雨でした。
私は午後から。
会場近くを調べてみると、お茶をしながら時間をつぶすようなところもなさそうだったので、時間的な余裕を見ながら、それなりの時間に到着するように電車に乗りました。
会場に着くと、私の前後で面接を受ける同期に会えました。
聞くと、会場にもちょっとしたカフェがあったようで、そこで口述試験の勉強をしていたとのこと。
そういえばこの人、専門学校の授業でもいつもいちばんに教室に来ていました。
会場の様子は、しっかり調べておくに限ります。
一緒に会場に入りましたが、番号によって座る場所が決められていたので、私は私の場所にいきました。
ほとんどの人はスーツを基本とした姿でしたが、かわいいスカートをはいた女性やジーンズのようなカジュアルな洋服の男性もちらっといたのが印象的。
ちなみに、見たかぎり女性は本当に少なかったです。
10人にひとりくらいの割合だったように感じました。
苦手な内容をまとめたレジュメを見ながらしばらく過ごしていると、番号を呼ばれます。
緊張していたので、まわりの人に声をかける余裕もなかったのですが、面接室の手前まで誘導してくれた試験監督の男性が、
「大丈夫ですよ」
と穏やかに接してくれたのを覚えています。
コロナ禍の最中だったため、面接室に入るのにもドアノブがウェットティッシュで拭かれました。
正直、このあたりのことは緊張してあまり覚えていませんが、ドアをノックして入ると、男性と女性の2人が、部屋の奥に座っていました。
中小企業診断士として口述試験で質問されたこと
お互いにマスクをした状態で、透明の衝立もあった気がします。
面接室はホテルの1室のようなところだったのですが、部屋の奥(面接官)と手前(私)という位置関係。
ちょっと声が聞きとりづらかったです。
私が聞かれたのは4つ。
事例2から2つと、事例3から2つでした。
つっこんで聞かれたのは事例2。
特に2つ目の質問では、私の解答が相手の期待したものではなかったようで、
「〇〇で△△という条件だけど、どうなりますか」
とさらに質問が飛んできました。
・・・ええ、なにをどう答えたか、まったく覚えていません(笑)
ただ、事例2の中からというよりも、そこからやや飛躍した他社との提携戦略について問われたのですが、
「連携する・連携する」
ということを強調して答えたような気がします。
そして事例2の受け答えがいまいちだと思われたのか、その次の事例3の質問2つは基本に則った、事例2と比較すると簡単な内容でした。
そんなこんなで、気がつけばあっという間に口述試験は終了。
本当に、あっという間でした。
ちなみに、私よりあとの時間で口述試験を受けた友人も、他社との提携戦略の質問をされたそうで、
「提携を断ると答えたら、面接官に怒られた」
と言っていました・・・(断ったのか)。
受け答えに失敗したり、緊張したりで、
「多分落ちた。絶対落ちた」
と同期の友人たちは言っていましたが、結局誰も落ちることなく、口述試験も合格。
あのときの安堵感は、なにものにも代えられません。
本当に全員で、よかったねえと喜び合いました。
ちなみに、このときの友人たちとは、いまも定期的に情報交換もかねて集まっています。
イベントに申し込んだら、誰かは必ずいる、という状況は、ちょっと人見知りをしてしまう私にとっては大きな安心材料です。
大人になってからも、こうやって気軽に会ったり、同じように切磋琢磨したりできる人たちに出会えたことも大きなこと。
こういう縁を、これからも大事にしたいと思います。
この次からは、実務補習というハードな経験もありましたが、ひとまず中小企業診断士という試験はここで終了です。
ここからは、これまでやってきたいろいろなことについて、書かせていただきたいと思います。